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◆◇◆ 山田バウさんからのメッセージ ◆◇◆ 674号
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(有)テンプルビューティフルの光田菜央子です。
明けましておめでとうございます。
2018年がスタートしましたね。どのようなお正月を迎えられたのでしょうか?
広島生まれの私は、お雑煮のお餅は断然丸餅なんですが、関東は切り餅文化。なので
全くお店に丸餅が見当たらず! 運良くイトコが杵でついたお餅を持ってきてくれ、
その中に丸餅が入っていたんですが、今度はサイズが大きすぎる!
・・・ということで、巨大な丸餅のお雑煮を毎日食べて過ごした三が日でした。
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新年初めてのメルマガですが、今日は、山田バウさんの言葉をご紹介させていただきます。
実は今日はバウさんの命日。
ちょうど3年前の今日、バウさんの魂は肉体を離れていかれました。
3年前のその日も今日のように仕事始めにあたっていました。なので毎年、私は仕事始めの日
になると、バウさんのことを思い出しています。
・・・とはいえ、山田バウさんって誰?って方も多いかと思います。
山田バウさんはこんな活動をされた方でした。
↓ ↓
『高校中退後、渡米。カナダでカヌーと出会い、日本にカヌーを広める立役者となる。
1990年頃、仕事を辞め、一人で1300以上の自治体を回り、オゾン層破壊を食い止める
ためフロンガス回収を訴える。1995年1月、阪神大震災直後に神戸入り、7年間半、
神戸復興と人々の支援を行うNGO神戸元気村の代表を務める。
日本海重油流出事故時には、1人ヒシャク片手に海に浮かぶ重油をすくい始めたことが
きっかけになり、人の力で日本海を救う活動が生まれる。
911テロ後には、グローバルピースキャンペーンの取りまとめ役として、数千万円の寄付
を集め、アメリカ主要新聞に報復 戦争回避のための意見広告を出すことにも寄与した』
約20年前、日本海沖で座礁したタンカーから大量の重油が流れだし、福井の海岸が重油で
真っ黒になった事件がありました。人々が海岸で呆然と立ちすくむ中、現地に駆けつけ、
小さなヒシャクでその重油をすくい始めたのが、バウさんでした。
私はバウさんの晩年のほんの数年間、仲良くさせていただいただけですが、とにかく
バウさんは骨身を惜しまず動く人。特に困った状況にある人、サポートが必要な方への
支援の手は惜しまず出される人だったと思います。
私が関わらせていただいたものでは、不況で親が失業して学校に行けなくなった日系
ブラジル人の子どもたちの教育費を稼ぐイベント開催、ご高齢のお母さんの介護で新しい
仕事が出来なくなり、経済的困窮に陥っていた、ある画家の方の経済支援のための絵画展
の開催もありました。
絵画展について書いたブログはこちら(2010年7月7日)
週3回透析に通う身体でありながら、とにかく動く!
人とは直接会って話をすること、現地を見ることを大切にされていたので、九州でも
北海道でも、出来るかぎり出かけてましたし、たった一人で始めることをいとわず、
これはやりたい、やる必要があると思ったことはすぐに行動開始。
小さくまとまらず、社会を変えるくらいの勢いと情熱で物事に取り組まれた方だったと
思います。
テンプルでもバウさんにインタビューをさせていただきましたが、私の質問はバウさんの
大きさにはとても追いつかず、すぐに撃沈。
でも、元気なうちにバウさんのお話しを残せたことは良かったかなと思っています。
今日のメルマガはかなり長文になってしまいますが、バウさんがまだ神戸元気村をされていた
頃に書かれた本『いのちの力をつかまえろ』から、バウさんのメッセージをお伝えします。
2018年のスタートに何か感じていただければ幸いです。
~第4章 一人が動くことから世界は変わる より抜粋~
カヌーに乗りはじめてしばらくたったころのことです。私はこれから自分の人生をどう
いうふうに生きていったらいいのか、考えつづけたことがあります。漠然とぼんやりと
考えたのではありません。それこそ、徹底して、考えに考えました。真夜中の湖に一人で
カヌーに乗り、月を眺めながら「自分」との対話を繰り返しました。
そこでまず気づいたことは、人間の一生はなんて短いのだろうというあたりまえの事実
でした。(中略)
人生が短いということは、私がいまさらいうまでもなく、多くの人が知っていることです。
それなのにいったいどれだけの人が、そのことを明確に意識して生きているといえるか。
どれだけの人が自分の望む、悔いのない人生を送り、また送ろうと努力しているといえる
でしょうか。(中略)
自分の人生を望みどおりに生きていきたい。そう思うならまず、自分という素材について
とことん知ることです。(中略)
私たち人間は人間同士の通信に必要だということで、海底ケーブルを敷設することには
大変な時間と費用をかけます。ところが不思議なことに、自分自身を知るためのケーブル
を、それだけの労力と熱意とで敷設しようとする人は、ほんのわずかしかいないという
ことです。
自分自身と対話するのは、人が生きていくうえで、もっともっと大切なはずです。
これからの有望業種は何か、どんな事業を始めれば儲かるか。そんなことを考える前に
まず自分という人間をとことん掘り下げて知ること。そこから始めない限り、自分のより
よき人生を組み立てることはできないと思うのです。
では、どうすれば自分を知ることができるのか。これは言葉でいうほど、やさしくは
ありません。方法も人それぞれでしょう。ただ私ならこういいます。
それは一人になることです。一人になってとことん自分と向き合うのです。多くの人は
一人になることが怖いのか、スケジュールを予定でいっぱいにしたり、携帯電話で意味
のない話をしたりして一人になる時間をわざとつくらないようにしているかのようです。
まず、一人になる時間をつくる。そこから始まると思います。
そのためには、少し遠くに出かけ、ぜひ自然のなかに身を投じてみてください。静けさ
に学べ、です。鳥のさえずりや木々のさざめきに耳を澄ましてみる。というより体全体
で感じてみる。体を自然と同調させていくのです、そうすると、心の奥底から何かが
聞こえてくるはずです。その声と真剣と向き合ってみるのです。(中略)
(神戸)元気村に集まってくれたボランティアのなかには、よく私に「~してもいい
ですか?」と尋ねにくる人がいました。もう遅いので帰ってもいいでしょうか。明日
は用事があるので休んでもいいですか? 何時にどこに行けばいいでしょうか。次は
何をすればいいですか。そんなとき、私は決まって「自分の人生でしょ。自分で決め
なさい」と答えることにしていました。
福井県の三国町沖にロシアの石油タンカーが座礁したとき、ある政治家がやってきて
私が現場を案内してまわったことがあります。状況を説明しながら歩いていると、その
政治家がこういいました。「私に何かできることはありますか」
それを聞いて私は情けないやら腹が立つやら、新聞記者たちのいる目の前で、思わず
彼の頭をポコンとたたいてしまいました。
「自分で考えなさい」
なぜわざわざ現場まで飛んできたのか。何をすればいいか、自分の目で確かめ、自分
で判断するためのはずです。人に聞くなら、わざわざ現場まで来なくても、電話一本で
すむ話です。(中略)
自分にかかわるさまざまな選択を、世間の常識と通例と慣習の枠のなかで処理してし
まう。おかしいと疑問を抱くこともなく、他人に判断を委ねてしまう。(中略)
間違ってもいいから、自分で判断する勇気をもってほしいと思います。(中略)
その生きた体験だけがその人の心に宿り、いのちの力を強くしてくれるのです。(中略)
先日、車を運転しながら、四国のある橋に差しかかったとき、川が汚れているのが目に
入り、涙が止まらなくなったことがありました。
「川の水さん、ごめんな。いつかこの責任を取る人間が出てくるからそれまで我慢して
ください」
私は本当によく涙を流す男です。神戸に入った最初の晩、女の子が目の前で焼かれて
亡くなったときは月に向かって泣き叫びました。オゾン層保護活動で駆け回ったときは、
四万十川の上流で服が濡れるほど泣き明かしました。人生の節目節目で大泣きし、その
たびごとに殻を打ち破り、新しい自分に出合ってきたように思います。
私自身は涙を流せる自分をとても愛おしく感じています。なぜなら人間は感情がきちんと
循環し、心がピュアで素直で健康でないと、泣くことがむずかしいからです。心理学から
みると泣くことは癒しの1つでもあるそうですが、感情の詰まりがあると、人は涙を流す
ことはできません。(中略)
悲しかったりつらかったり悔しかったりと、人間は個人的な理由で涙を流しますが、それ
以外に人が泣く理由の1つは共感です。(中略)
川で、海で、私が涙を流すのは、その地球の痛みや切なさに共感しているからにほかなり
ません。地球の痛みが自分の痛みとして感じ取れてしまい、涙が出てくるのです。
これは理屈ではありません。(中略)
私がこれまでいろいろと自分の役割を果たすために動いてきたのはどうしてか。それは
涙が止まらなくなるほど、心の底から今、動かないといけないと感じたからです。汚れた
川や海に向かって「ごめんなあ、ごめんなあ」と謝りつつ、力及ばぬ自分の至らなさを
省みつつ、何度涙を流したことか、数えきれないほどです。(中略)
私が多くの人に触覚や原始の脳を研ぎ澄ませてほしいと願うのは、涙を流せる感受性を
取り戻してほしいからです。知識で啓蒙されても人は動きません。涙を流せるほどに
全身で感じて初めて。人は動きはじめるのです。(中略)
魂と心とが喜びを感じる自分の本当の仕事と出合い、その活動を実践している人たちには、
アンテナが立っています。原始の脳が開かれ、さまざまな情報を受信できるばかりか、多く
の人を惹きつけ、気持ちのよいエネルギーを発信する、目には見えないアンテナです。
それをもっている人たちは、一様に心がピュアで、世界に向かって常に開かれ、向上心を
失わず、変化も恐れません。感性のバランスもよく、自分ともまわりとも調和し、いのちの
力が充満しています。つねに溌剌と光り輝き、ともにいて楽しく、ともにいて元気になる。
そんなアンテナを持った人間が増えれば増えるほど、地域も国も輝いてきます。日本中
が輝きだす火がそれほど遠くないことを、私は心から願ってやみません。
~以上引用おわり~
一人で自然の中に入り、とことん、自分と向き合い、自分を知ること。そして自分で考え
行動すること。動物や自然、地球の痛みに共感できるほどの感じる力、共感力を高めること。
いのちの力を高めて、一人ひとりで愛のアンテナを日本中、世界中に立てていけたらいい
ですね。
山田バウさんが最後に弟子に託したプロジェクトは「自分の死を題材にして『チベットの
死者の書』の解説本を作って多くの人に伝えてほしい」ということでした。
この本は1冊300円で入手可能です(別途送料あり)
興味をもたれた方は、下記まで直接ご注文下さい。
OPEN JAPAN
バウさんの仕事のすすめ方について書いたブログ(2015年3月10日)もありました。
それでは、今年もどうぞよろしくお願いします!
(有)テンプルビューティフル メルマガ674号 2018年1月5日配信